目次
はじめに
不動産投資で節税ができるというのは聞いたことがあると思います。その中でも「魔法の経費」とも言われている「減価償却費」という経費があります。確かに、魔法の経費ではありますが、色々とポイントや落とし穴があります。
今回は不動産投資物件の減価償却を活用した節税の仕組み、落とし穴について解説します。
不動産投資における減価償却とは
まず超簡単に説明しちゃいます。
減価償却とは、価格が高く何年も使えるものを購入した場合、1年で全ての費用を計上するのではなく、何年かに分けて費用を計上していくという考え方です。
不動産は基本的には高価で一度購入すると長期保有します。物件購入価格を一括で経費として計上するのではなく、その建物の価値の減った部分を「減価償却」と呼ばれる経費として計上していきます。
なぜ、不動産投資で減価償却は節税に役に立つのか!
それは減価償却を行うことで、実際には出ていかないお金を毎年経費にすることができるからです。なので、「魔法の経費」と言われているんですね。経費を計上すると利益が減るので、利益にかかる税金は少なく済みます。大まかに、木造22年、軽量鉄骨19年、27年、重量鉄骨38年、R C47年→この期間で、経費として計上できるのです。
ちなみに、不動産投資における減価償却の対象について、「建物」は対象ですが時間の経過によって価値が減少しない「土地」は含まれませんのでご注意ください!
しかし、減価償却で節税はできますが、厳密に言えば「節税」ではなく「税の先延ばし」にしかなりません。そこが落とし穴になります。
減価償却の落とし穴
減価償却を行うことで毎年簿価上の建物金額は小さくなりますが、最終的には売却した際に減価償却した部分が売却益となるため、それに対する税金がかかります。
課税されるタイミングをコントロールできるという点で税の繰り延べは有効であり、特に法人の場合は利益のコントロールが可能です。
また、よくある質問として、減価償却で赤字を出したら銀行に融資してもらえなくなりそうで怖いという方がいますが、銀行が評価するのは減価償却前のキャッシュフローなので、減価償却後赤字になっても全く問題ありません。
減価償却費の計算方法
それでは減価償却費の計算方法を解説していきます。
建物価格 × 償却率 = 減価償却費
建物価格とは
減価償却費を計算する場合、土地は価値が下がらないので、建物だけの価格を割り出す必要があります。
不動産の売買契約書を見ると、土地の価格と建物の価格が明記されている場合がありますが、固定資産税価格などからも建物の価格を計算したりします。
なので、減価償却費を取りたいからと売買契約書で建物と土地の価格があまりにも乖離していたら税理士、税務署などに指摘をもらう可能性があるので常識の範囲内にした方がいいでしょう!
たまに減価償却費を多く取ろうとして建物比率を多くしようとする人がいますが、そうすると売却時にその分多く税金を払わないといけません
減価償却費を計算するには、その建物に応じた償却率を調べる必要があります。償却率は、建物の取得時期、建物の種類、耐用年数によっても違います。
詳しい計算方法などもありますが、結構難しいので簡単に捉えてもらうために敢えて解説をしません。
構造・用途 | 耐用年数 |
木造・合成樹脂造 | 22年 |
木骨モルタル造 | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 |
金属造 | 骨格材の肉厚が 4㎜を超えるもの:38年 3㎜を超え、4㎜以下のもの:27年 3㎜以下のもの:19年 |
法人の場合は任意償却が可能
所有する不動産がある程度の規模に成長すると、法人化を考える方も出てくるかもしれません。個人と法人の大きな違いは、減価償却費の計上を、任意で計上できる点です。
例えば、減価償却費計上前には黒字だったが、減価償却費を計上すると赤字に転落するような場合、追加融資を受けるために当期は黒字にしておきたいような場合、今期の減価償却費の計上を見送ることができます。
まとめ
減価償却費は、不動産投資をはじめて数年は節税効果があるかもしれません。あくまでも不動産投資をするときは物件の空室が出ないよう、事業として成り立つ物件かどうかを考慮して、物件を選ぶようにしましょう。
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